病院訪問‐春日部市立医療センター
春日部市立医療センターに行ってきました!
平成29年3月22日(水)
と春日部市立医療センターへ小谷昭夫先生行ってきました。
春日部市立医療センターは春日部市立病院として長く地域医療を支えており、平成28年7月1日に現在の場所に新築移転しました。基幹型臨床研修指定病院、地域がん診療連携拠点病院など地域の中核を担う病院となっています。
病院長の山本樹生先生にお話を伺いました
春日部市立医療センターについて
当センターは最新の設備や医療機器を備えた病院として、「春のひだまり」をトータルコンセプトとして、平成28年7月1日に旧春日部市立病院から新築移転、開院し、地域医療連携拠点の役割を追及しています。
病床数は新築移転に伴い350床から13床増えて363床となりました。
令和4年度時点で、医師数は常勤では69人のうち常勤女性医師が15人、女性医師の割合は22%、非常勤医師では135人のうち女性医師が35人、女性医師の割合は26%です。
産休、育休を取得した医師は、令和2年度に1人、令和3年度に2人、令和4年度に1人です。
院内保育所も新築の際にセンター内に併設されました。
現在では常勤医師だけでなく非常勤医師を含め多くの職員が利用しています。自治体の保育施設等の定員が少ない0~2歳児の利用が特に多く、育休から復帰するタイミングでの定期利用や休日の病棟回診勤務の際の一時利用等、幅広いニーズに対応しています。
女性医師支援について
本市では、次世代の社会を担う子どもたちが健やかに生まれ、かつ育成される社会を形成するため次世代育成支援を推進するとともに、女性職員の活躍を迅速かつ重点的に推進しています。
ワークライフバランス実現のため、職員に対し仕事と育児を両立させるための制度を周知し、これから育児の始まる女性職員はもちろんのこと、育児中の男性職員や、その職員が所属する部署の他の職員など、だれもがいきいき働ける職場づくりを市全体で目指しています。
また、短時間勤務制度については、部分休業、育児短時間勤務等で仕事と育児を両立できるよう支援しています。令和4年4月現在3人の女性医師が本制度を利用しています。
医師不足の現状を踏まえますと、女性医師にもフルタイムに近い働き方をしてほしいところではあります。しかしながら、それが難しいという人のライフスタイルを応援できる制度を整備することで、その人に合った働き方を考えていかなければならないと思います。
子育て世代の医師は、夫婦どちらかのあるいは、双方の親御さんが近くにいるかどうかで状況が違ってきます。いずれかが近くにいて、家事や保育園への送迎などの支援があれば、完全復帰するケースが多く見られます。
女性医師が復帰すれば、当然収入が増えます。そうなれば、親御さんの仕事を減らしてもらい、子どもの世話を頼むということもできます。家族間での調整の幅も広がると思います。
自宅からの通勤距離が遠くても、当直料は高額ですので、旅費を負担してでも週に何日か協力してもらえれば、子育て世代でも当直ができる場合もあります。
また、自宅が近い医師に限られますが、シフトをうまく利用することもできます。
例えば17時に仕事が終わり、20時に当直に入るシフトがあります。その間の3時間に家で夕食を用意して、子どもをご主人に頼み夜勤に入る。当直が明けて自宅に帰り朝食を作って、仕事や学校に送り出したら、自分は休むといった女性医師もいます。
今はどこの病院も医師不足なので、当センターでも常勤医師を増やしたいところですが、なかなか難しい状況です。診療科にもよりますが、医師が少なく、当センターが欲しい部門はどこの病院でも欲しいと思っています。
例えば当直ができる医師ですが、近頃は男性医師でも当直を希望しない人もいて、採用面接のときに「私は当直しません」と言われてしまうと採用について考えてしまうこともあります。
このように働く側と雇う側とのマッチングが、うまくいかないことも多くあります。
かつて、女性医師は男性医師に比べて頼りにならないといわれ、病院側もできれば男性医師を採用したいと思っていた時代がありました。
現在では女性医師の比率が高くなり、当たり前に女性医師が働いています。男性、女性の別なく働いていただくため、かつてのような長時間病院にいるという働き方や、男性医師と女性医師は違うという見方を変えていかなければならないと、各診療科の幹部職員も理解を深めています。
イクメンやイクボスなど、男性側の理解の話が出ることが増えましたが、いかがですか
今の30代くらいの人は子どもの頃から男女平等と教えられてきているので、割と家事も手伝っているのではないでしょうか。夫婦で医師の場合、ご主人もできる範囲で協力していると思います。
当センターの子育て世代は、夜遅くまで残ることはせず、男性医師でもけっこう早く帰っています。家庭を顧みないで働くなんて人はいなくなりました。仕事だけというのではなく、家庭やプライベートも大事にしているように感じます。
医師の働き方は、様々です。専門外来だけ持つような医師もいて、必ずしも毎日毎日、常勤として働くというのではなくてもいいのではないかと思います。
その資格があるから給料が上がるかというとそういうものでもなく、病院としては専門家が欲しいけれど、専門家が来てくれたからといって病院経営の観点からは、なかなか厳しく給料を上げてあげられるかというとそうでもないこともあります。医師の給与は、どの部分をどう評価して上乗せしていくか、診療科も専門性も多岐にわたることから判断は難くなります。
産婦人科、小児科、乳腺外科、膠原病においては、女性患者が多く、女性医師を希望される患者さんが多い診療科目となっています。
既婚の女性医師が働くためには、本人の意識だけでなくご主人の理解が必要となります。また、通勤やお子さんの保育園、学校関係など、それぞれ事情が違います。皆さんが医師を続けたいと思っているはずで、女性医師が働くことは、ごく当たり前になっています。
様々な事情を抱えながらも頑張っている女性医師のニーズを正しく把握することで、そのライフスタイルを応援できる手段を考えていかなければなりません。
性別に限らず、健康の保持、家族や友人などとの時間も大切にしながらワークライフバランスを充実させ、いきいきと働いてもらえる医療センターを目指しています。
埼玉県女性医師支援センターについて
それから、臨床を離れた女性医師の掘り起こしも重要だと思います。
「埼玉県女性医師支援センターでは、様々に支援策があることの周知を、家庭にいる女性医師、臨床を離れている女性医師へ働きかけをしたいのですが、実際のところ、友人、知人、先輩、同級生などからの紹介、また夫が医師の場合、医療系の雑誌、学会誌などを目にする機会もあるかと、その辺りに頼っているのが現状です。」(児島)
家庭に入ってしまった人、臨床から離れてしまった人で復帰を希望する人への再教育も必要です。当たり前の話ですが、ブランクが長ければ長いほど戻りにくくなります。今、現役で働いている女性医師には、非常勤、パートなどの働き方もあるので、どうか辞めないで仕事を続けて欲しい。
「研修を希望される女性医師がいたら、県内の公立病院が協力していただけます。
復帰する女性医師には、ぜひ「埼玉県女性医師支援センター」までご相談いただきたいと思います。」(児島)
今の医療界は、女性医師を活用しなければやっていけない。女性だからと言って、優遇してもらっていることが当たり前に思って、いつも助けてもらう側でいると、いつもカバーする側に回っている医師からの不満が出てきてしまいます。その辺りのバランスも考えなければなりません。
可能であればある程度、既婚者が多い部署、独身者が多い部署と分けられると、それぞれの立場を理解しやすく、「お互い様」と協力しあえのではないかと思います。
女性医師の方々にお話を伺いました
卒後18年 外科の女性医師
既婚で子どもは3人います。嘱託常勤で短時間勤務制度は利用していません。
都内から通っていて子どもをこちらまで連れてくるのは大変ですから、院内保育所は利用しておらず、3人とも地元の認可保育園に預けています。
夫の実家、自分の実家ともに近くなので、いろいろと協力してもらっています。
女性医師支援について
院内保育所は自宅が近い人でなければ、利用しにくいと思います。子育てをしながらの勤務は、柔軟にさせていただいています。
時短制度は、人によっては使い勝手が悪いこともあります。保育園探しのときに、おそらく多くの自治体がそうだと思うのですが、ポイント制で入園の優先順位を決めていて、時短を利用していると保育に困っている度合いが下がりますからポイントが下がってしまい入園できにくくなります。
私は、秋に出産したため0歳から保育園に入れられ、臨床への復帰が早くできました。4月から預けたいと思ったら2月生まれがぎりぎりで、4月に入園できずに1歳になってしまうと、翌年さらに保育園に入りにくくなってしまいます。うまくいったから言えることかもしれませんが、二人目以降は、妊娠するときからいつ復帰できるかを考えました。
育休を1年取るのは権利ではあるし、それで預けることができて働けるようになることが一番いいのですが、現実的にはなかなか難しいです。
病児保育はして欲しい
院内保育所は利用していませんが、病児保育はして欲しいと強く思います。
働いていて一番困るのは子どもが病気になった時で、熱が出ると保育園は預かってくれません。私の場合、お姑さんも自分の実家も近いので、その担保があって働けていますが、病気のときに子どもを預かってもらえなければ働くことは難しくなります。
実は、私の自宅がある地域では病児保育を行っている病院があるのですが、そこに預けるには、まず朝その病院へ行って診察を受け、“病気と診断されて”病児保育にしましょうとなり、それだけで半日かかってしまうので、利用する意味がありません。
以前、勤めていた病院では、部屋が空いていたら“入院”をさせてもらえます。仕事して夕方連れて帰れるというものでとても助かりました。子育てしながら働く上で、病児保育があると安心して働けます。子どもが病気の時でも預けることができ、とりあえず午前中仕事ができるとなれば、なんとか勤められるのではないかと思います。私の同級生100人のうち、女性医師は30人くらいですが、常勤で働いている人は半分もいない状況です。
女性医師に限らず医師は、働く先、働き方がいろいろありますから自分なりの今できるやり方でキャリアを目指そうと考えて、柔軟に考えればいいと思います。
卒後15年、内科の女性医師
既婚で、2歳の子どもがいます。時短1時間を利用して常勤で働いています。産休、育休を取得し半年で復帰しました。夫婦での家事の分担は半々という感じです。
通勤が遠く乗り換えも含めて電車で1時間ほどかかるので院内保育は利用せず、地元の認可外保育園に預けています。義理の両親が近くにおり、朝はおじいちゃんに保育園へ送ってもらい、帰りは私が迎えに行っています。お姑さんが調理師をしており、週に1回料理を作ってもらっていて大変助かっています。
女性医師支援について
自分が産休、育休のあとの職場復帰の時にかなり忘れている部分があると感じたのですが、そういったことの練習になる場を、仕事をしながら外来や病棟でゆとりをもってやらせていただいた感じがあり、ありがたかったです。
小さな子どもがいるとどうしても具合が悪いときもあり、そういう時に急に自分が抜けても、大丈夫なバックアップ体制があると安心できると思います。今の職場は、小さなお子さんがいるお父さんの男性医師もいるのでその辺のサポートが、お互い様ということで融通が利いてありがたいです。働きやすいと思いずっとこちらでお世話になっています。
専門医を取るために、通勤の電車内での時間を有効に勉強にあてています。
院内保育所を見学させていただきました
院内保育所は、新しい病院の中に専用のスペースが作られており、セキュリティもとてもしっかりしています。窓が広く明るい室内では、10数名のお子さんがおやつをいただいていました。
所長にお話を伺いました。
定員は27名、通常は12、3名なのですが、今は幼稚園が春休みなので一時預かりのお子さんが何人か来ています。奥の部屋は今のところ使っていませんが、在籍の人数が増えたら、5、6才の大きなお子さん用にする予定です。
院内保育所でお預かりできるのは、6才までですが、3歳になると別の幼稚園などに通うようになるお子さんが多いので、1、2、3歳の子がほとんどです。0歳児は定員が3名、生後2ヶ月くらいからお預かりしていますが、今は1歳未満の子はおりません。
ほとんどが看護師さんのお子さんで、医師のお子さんは、週に1日だけ1名お預かりしています。
夜間保育も月、水、金で行っており、お母さんたちに夜勤のシフトをそれに合わせて組んでいただくようお願いしてあります。
経営は業者への委託ですが、保育士さんも引き継いで雇用していただけました。長く勤めている人も多く、お子さんにとっても良かったと思います。

