病院訪問‐土屋小児病院

土屋小児病院に行ってきました!

土屋小児病院の外観

 平成26年11月13日(木)土屋小児病院に中田惠久子先生と行ってきました。

 土屋小児病院は、JR宇都宮線、東武伊勢崎線が乗り入れている久喜駅西口から徒歩5分のところにあります。埼玉県内唯一の法人立の小児科専門病院であり、アレルギー学会認定教育施設にもなっています。平成24年7月に新築移転した病院は、予防接種などの患者さんが利用する「非感染外来入り口」と「一般外来入り口」、水疱瘡やはしかなどの感染の疑いのある患者さんに利用してもらう「感染外来入り口」と3つの入り口を備えています。小児科の救急指定病院で、二次救急の輪番制にも参加しています。今年、開設から50周年を迎えた地域の小児医療の核となる病院です。

 平成21年には埼玉県の「さいたま輝き荻野吟子賞」を受賞しました。この賞は、働く女性の仕事と家庭の両立、子育てと仕事の両立、こうした部分に力を入れた個人、団体、企業に対する賞です。土屋小児病院では、医師の就労時間を減らし、かつ柔軟な勤務体制によって、常勤医師の週の勤務時間を40時間から32時間にするなど、勤務の軽減を図かり、また残業時間を削減し、子育て中の職員の時間外勤務及び当直の免除など、法定を超えた勤務時間短縮制度により、仕事と家庭生活や子育ての両立を支援することに力を入れています。

理事長の土屋喬義先生にお話を伺いました

土屋小児病院の理事長土屋喬義先生

 当院の医療スタッフは、12名のうち女性医師は4名。そのうちの1名がもうじき産休に入ります。非常勤で来ていただいている先生もいますし、産休を取得し、復帰してくる女性医師も多くいます。応募のときに「産休、育休の取得や子育ての支援がありますか?」ということは、必ず聞かれますね。
 当院は小児科ですから、女性が働きながら子育てをして、そうして社会がまわっていくことを願っています。子育ての時期というのもありますから その時期には調整してあげて、それが終わったらまた次の世代へ貢献してもらいたいと思っています。

勤務体制について

 現在、当院の医局長は子育てしている女性医師です。おふたりのお子さんは中学生と小学生で、教育が大変な時期のようです。当院の医師は、いろいろな条件で勤務しているのですが、その勤務時間の調整、割り振りはこの医局長がやってくれています。
 短時間勤務正規職員制度もありますし、3日常勤という制度もあります。申請があれば5日でも、3日勤務でもOKです。ほとんどの人が4日勤務ですが、半日勤務をまぜて4日とか、5日勤務にするとか、それぞれのドクターの考えで選んで、勤務しています。常勤3日というのを活用した男性医師もいました。大学院生が多く、研修中の先生は研究の時間にあてたりしていたようです。
 病院はベテランが力を発揮する場所なので、皆さんにベテランになってほしい、長く勤めてほしいわけです。育児早退、育児遅刻という制度もありまして、学校に送るので遅くなるとか、早く帰らなければいけないということも申告してくれれば認めています。子育てが大変で、仕事が大変で、疲れてしまって、ちゃんとした医療ができなくなるというのは困るので、女性に限らず男性職員にもリフレッシュしてもらって、それを患者さんに注いでほしい。そういうことをやりたいと思っています。

院内保育所について

土屋小児病院保育所

 病院内に保育室は準備していますが、現在は稼動していません。一時期、待機児童のことが言われていましたが、近頃はだいぶ保育所が充実してきたようで、預かってもらえないということはほとんどないようです。通常、職員はそれぞれ自宅近くの保育園に預けていますが、たとえばインフルエンザが流行ってお子さんが通っている保育所が閉鎖したときなどに預かります。そういうときは当然、小児科専門である当院も忙しくなるので職員に休まれるのは困るわけです。そこで、緊急避難的にお子さんを預かっています。また、日ごろお子さんをみてもらっている人、例えば祖父母が見てくれているが、用事で預かれないときなども預かります。当院は小児科専門病院ですので、院内にプレイルームがあり、常勤保育士がいますし、人手が足らなければさらに臨時で保育士をお願いすることもあります。

研修、研鑽について

 PALS(Pediatric Advanced Life Support(パルス)といって、米国心臓協会(American Heart Association、 AHA)が米国小児科学会(American Academy of Pediatrics、AAP)などと協力して提唱している、小児二次救命処置法ですが、それを指導するインストラクターに当院の院長である子川医師がなっており、研修会を行っています。
 また、アレルギー学会の研修施設になっていますので、開業した医師でアレルギー専門医を取りたいという方や、アレルギー専門医を取りながら、長く勤めたいという医師も、現在2名おります。 専門医がとれるかというのは重要で、アレルギーの専門医は取得するのに5年くらいかかります。研修施設になるためには、指導医が2人、症例が年間何件とか決まっていてそれで認定されます。
 技術、知識の習得といった教育、研修体制というのは、福利厚生とともにとても大事です。

先生は、2008年に放映された「小児救急」というドラマの監修をなさったそうですね

 親が昼間仕事をして、夜に子どもを受診させるという、いわゆる「コンビニ受診」が増えて問題になっていたんですね。小児科医が疲弊して、総合病院で小児科が閉鎖されるところが続いたりしました。
 そこで、「小児医療の崩壊」をテーマに「それでも小児科をやりたい。24時間、受け入れます」という女性医師が、クリニックを開き奮闘するドラマを監修しました。当院でも、夜間に来院する中で本当に緊急な受診が必要な人がどのくらいいるか、統計をとっていました。不安で連絡をして病院にかからなければならないのは、その中のおよそ3割くらいだったんですね。
 そうした中、ドラマがあったり、兵庫県丹波市で、「県立柏原(かいばら)病院の小児科を守る会」という運動が始まったりしました。また、小さな子どもさんのいる親が、休日・夜間の急な子どもの病気にどう対処したらよいか、病院の診療を受けたほうがいいかなど判断に迷った時に、小児科医や、看護師へ電話で相談ができる「#8000」もこの頃始まりました。
 そのような様々な流れがあって、小児科の保険点数が改善され、手厚くなったりして、われわれ小児科医にとっては、仕事はやりやすくなってきました。なるべく早くかかるという啓蒙もしていますし、説明すればわかりましたという親も増えました。

看護師やコワーカーの勤務について

 看護学校の実習生の受け入れもしています。いろいろな面で医学生のみならず、コワーカーも小児科を勉強できる教育の場になるようにしています。ナースの勤務は基本40時間です。子育ての育児早退、育児遅刻も全職種にあります。医師だけでなく、小児科に興味を持って活躍してくれる医療者を育てたい、一人でも多く、そういう方を増やしたいと思います。

医師の確保について、小児科のネットワークで大学から派遣していただけるのではないですか

 大学も医師を派遣する余裕は、なかなかないんですね。逆に当院に大学から新生児室の医師がいないので、週1日でいいから派遣してくれないかといわれます。当院の医師のうち半分くらいは、週に1日程度、上位の病院に行っています。そうすることで、大学病院の小児科の最新の知識や考え方などが診療に反映される。できるだけ、吸収してきてほしいと思います。

土屋小児病院は、地域の中心になって勉強会をしてくれている研鑽病院だと伺いました

 地域連携医療研究会というのを開催しています。「こんなとき、小児科医としてどう対処するか」といった知識を、私どもの職員だけでなく地域の医師や職員とで、共有したいと思っています。そうすることによって、情報交換もできて円滑に病診連携ができています。
 そういったことは、職員確保の点からも、とても重要なんです。仕事というのは、ただ簡単なだけでは、職員は集まらない。腕前が上がらないと仕事としておもしろくない、ただこなすだけの仕事は働く意義を感じなくなりますし、技術が上がらないと段々と不満に思うものなんです。どの職種でもそういう環境が大切で、就業体制と同じくらい力を入れて、研修体制を整えなければなりません。学会にいくための有給休暇とか、学会に行く費用を出してあげるなどしています。本人が希望する場合と、業務命令で行かせる場合と制度は二つあります。

院内を見学させていただきました

 土屋小児病院では、「非感染外来入り口」「一般外来入り口」、「感染外来入り口」と3つの入り口を備えており、そのほかにも小児専門病院として様々な機能が工夫され、配置されています。

土屋小児病院 非感染外来入口 土屋小児病院 一般外来入口 土屋小児病院 感染外来入口

医療機関の方

ドクターサポート事業

地域医療教育センター

埼玉県総合医局機構~Kobaton.med(コバトンドットメド)

Kobaton.med(コバトンドットメド)は
埼玉県総合医局機構の愛称です。